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安全と共済

公益財団法人 建設業福祉共済団
理 事 長 茂 木  繁

理事長 茂木 繁  絶対の安全など、どこを探してもない。事故の可能性は常にあり得る。建設業の転ばぬ先の杖の一つに、わが国最初の労災上乗せ補償保険として全建との特約の下に始まった建設共済保険がある。
 東京建設業協会の新春懇親会の祝辞では、チャーチルがオックスフォード大学の卒業式で「ネバー ネバー ネバー ネバー ギブアップ」と二度述べただけの史上最短演説に倣い、「労災事故にご用心 安い掛金・手厚い補償 事業内容ますます充実 建設共済保険」と繰り返して、加入を呼びかけた。
 建設共済保険は、雇用所得が期待できる障害8~14級の被災者には労災保険から休業補償(給付基礎日額の8割)のほか給付基礎日額・算定基礎日額の503~56日分と65~8万円が一時金で給付されるのに対し、年金所得となる障害7級は休業補償(同)のほか通常159万円の一時金の給付にとどまるところを、当団の1,000万円~4,000万円の保険金4区分の7級の上乗せ分(6割支給)を適宜活用すれば均衡がとれるよう設計され、死亡と障害7級までに対象を絞ることで、掛金の安さが魅力となっている。企業に半分支払われる諸費用補償の使い方に制度の妙がある。
 協会の会長を訪ねる全国行脚も二巡目に入り、理事長就任時31社だった会長企業の加入は、見込み2社を含めると、有難いことに40社の大台に乗った。会員加入率も50.2%から51.7%に高まっている。建設共済保険は、単なる保険ではなく、共済制度の一環なのであり、元手となる掛金をいかようであれ拠出し合い利益を分かち合う相互扶助の精神に立脚している。近年深まっている両者の一体的関係に鑑みるとき、会長以下協会幹部在任中のノブレス・オブリージュ(高貴なる義務)の一つとして、万が一にも慣例化していくようなら、契約者と業界(協会)の発展を使命とする建設共済保険制度は、さらに好循環を生むことだろう。
 翻って、「安全第一」は工事の大前提である。その「安」の字は、女性が家の中にいる形を表したもので、当時はこうした姿が最も安らげることの象徴だったのであろう。「全」の字は、△と工を組み合わせたもので、一説によれば、しっかりと仕組んで工作するという謂いだとされる。そうすると、「安全」には、女性的なほどの細やかさを持ち、きちんと段取りをつけて手塩にかけて作り上げていく意味合いが込められているように思われる。これほどの綿密さが要求されるものなら、女性の感性も生かして活躍してもらうのが効果的だ。女性にやさしい職場は、若者も集まりやすく、高齢者も働きやすい。建設業と地域の未来の鍵の一端は、女性が握っていると言えよう。
 東日本大震災と福島原発事故が発生したわが国は、その後も地震が続き、地球温暖化につれて熱中症リスクの増大とともに記録的豪雨による土砂災害や台風などに見舞われることも多くなり、安全への関心は高まるばかりである。ひたむきに傾ける営々とした日々の努力に大いなる価値を見いだし、防災・減災への息の長い取組みを堅持して、各地域で創意工夫を凝らした安全・安心の文化を創造していかなければなるまい。
 当団は、公的な財政支援を受けることなく、すべて掛金で共済制度を運営し、業界とともに歩んで2020年11月に制度創設50周年を迎える。保険金や遺児等への育英奨学金の支給はもとより、労働安全衛生推進事業における安全用品の頒布や女性専用トイレの設置助成、各協会への事務委託費や社会貢献等諸活動への一般助成金の支払、建設会館への特別助成、今年度からスタートする「担い手確保・育成広報モデル」による広報活動支援等を通じて、業界に真に役立つ存在であり続けたいと、強く念願している。

全建ジャーナル 2019.4月号 掲載